海の底

2005年1月2日 日常
考えないでおこうとするのに
頭は全く言う事を聞いてくれない。

笑えていたのはきっと。
別れが現実的じゃなかったから。

もしかしたら。
もしかしたら。

どうせまた。
どうせまた。

やり直すのではないかと
そう思っていたから。

でも、今回ばかりは
そうじゃないようだ。

藍人が言った言葉。

「別れても、今みたいな関係でいたい。
 またどこかで会った時、笑い合える。
 そんな仲でいたい。」

あの子はこの別れを円滑に進めようとしている。

別れは理性で受け止められるものなのだろうか。

もちろん彼との別れを切り出したのはあたしで、
自分で蒔いた種だと一笑されるのは当たり前なのだが。

あたしはひとりになる寂しさより、
ふたりでいる苦しさの方がつらいと思った。

一番近くに居るはずのあの子が
遠く感じるときの
わかりあえないときの
あの感覚。

人は誰しもひとりぼっちで、
誰も自分のものになどなりはしないのに
藍人のことが欲しくて、わかりたくて、
閉じ込めたかった。

藍人は翼を持ってる。
やっと飛べるようになったのが嬉しくてたまらないのか。
真っ白な翼でどこまでも自由だった。

あたしはその翼に恋をした。
時々背中に乗せてもらって一緒に飛んだ。
自分の心が真っ白になるようだった。

だんだん欲張りになったあたしは
藍人を束縛と言う名の鎖で縛るようになった。
そんなのへっちゃらだと鎖をほどいて逃げて行く。
そして気まぐれに帰ってくるのだ、あたしの鳥かごに。

「ただいま」って笑いながら。


今まではね、すぐに

「おかえり」って

言えたのにね。

だって、
嬉しそうに帰ってきてくれるから。

あたしのこと好きって伝わってきたから。


あの朝。

雪の中で。

バイバイしたのは。


もう戻らないって
ことだったんだ。


もう好きだって
伝わってこない。

あの日。
なんで手を握り返さなかったのかな。
あたし。


だって

「みつきちゃんといても
 飛び出していきたくなる」

って

「みつきちゃんと居る時間より
 他の時間が大切」

って言われたら

どうしたらよかったの。


わかった。
我慢するって。
頷けばよかったの。


何で涙が出るんだろ。


あいつも孤独になればいいんだ。
ひとりぼっちになればいいんだ。
さみしくて悲しくなればいいんだ。
あたしに会いたくなればいいんだ。
あたししかいないって思えばいいんだ。
そして離れなきゃいいんだ。

ばか。
ばか。

ばかは誰だ。



海の
底の
底の
底の
砂の中に


もう
眠ろう

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